MD×AI考察|スタバの在庫カウントAI本格展開——棚割りは「設計」から「欠品前に動く運用」へ

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棚前の在庫を常時“実測”し、補充・発注・面出しを前倒しで回す体制へ移行する——固定プラノより“欠品前トリガー”が効く、という話。


ニュース要約(事実)

  • Starbucksが北米の直営約1.1万店に、NomadGoの在庫カウントAIを9月末までに展開。
  • 棚をタブレットで撮影するだけで自動計数・低在庫アラートが可能に。カウント頻度は従来の約8倍。
  • 公式発表では、コンピュータビジョン+3D空間認識+ARによる高速計数を説明。将来的に自動発注まで接続する構想も示された。

背景課題と目的(なぜ今コレ?)

これまでの在庫チェックは、人が目で数える+回数が少ないという仕組み。
その結果、在庫が減っても気づくのが遅れ、人気商品の売り切れを招くケースが目立っていた。

さらに、システム上は「在庫あり」でも棚は空っぽ、というギャップも頻発。
本部のデータと店頭の実態が合わず、補充や発注の判断が常に後追いになっていた。

今回のAI導入は、「いま棚に何があるか」を正確かつ素早くつかむことを目的とする。
補充や代替商品の前出し、発注の早回しなどを実現し、将来は自動発注への基盤にもなる。


さらに深掘り(実務インパクト)

1) チェックの回数が増えると、欠品前に動ける
例えば昼のピーク前に「ミルクが少ない」とわかれば、事前に補充できる。結果として「売り切れ」が減り、販売機会の損失を防げる。

2) 棚割りは“固定図面”から“その日の最適”へ
天候や時間帯によって売れる商品は変わる。AIが棚の在庫を見て、その日その時間に合わせた並べ方を指示するようになる。

3) 役割分担が明確になる
本部はKPI(欠品率や在庫日数など)を設計、店舗はアプリの指示に従って補充・並べ替え・報告を行う。迷いが減り、作業のスピードと精度が上がる。

4) 自動発注に近づく
棚の実測データが頻繁かつ正確に蓄積されることで、欠品前に自動で引き当て・発注する仕組みが現実味を帯びる。店舗スタッフは接客など人にしかできない業務に集中できる。


未来仮説:短期の変化(1〜2年)

  • 時間帯で売場の顔が変わる
    昼は回転重視、夕方はご褒美系。AIが在庫の状態に応じて、時間帯ごとに棚の見せ方を変えるようになる。
  • “売り切れ”は予報に変わる
    これまで事故のように起きていた欠品は、前もってアラートが出る「予報型」へ。スタッフの無駄な移動が減り、お客と接する時間が増える。
  • 棚チェックが自然なルーティンになる
    道具が整えば、煩雑だった棚前の確認は「当たり前」の作業に。人は例外対応や体験づくりに集中できる。

未来仮説:中長期の変化(3〜5年)

  • 棚=メディアとしての再評価
    「見える・買える・切れない」をスコア化し、棚そのものの精度が広告価値として評価される。販促費の配分ロジックが変わる可能性が高い。
  • 意思決定の一体化
    価格・販促・在庫・品揃えを同じダッシュボードで管理。小さな調整の積み重ねが利益を押し上げ、成功パターンの横展開が速くなる。
  • メーカーは“費用負担者”から“共通の相棒”へ
    新商品の立ち上がり時期に、再陳列や再配分を週次で共に実行。共通のKPIを基に会話が進み、対立より協働が当たり前になる。
ささき
ささき

店舗にとって、100%の在庫を目指すことは時代に合っていません。同じ列に同じ商品を陳列したり、過小しないよう在庫を詰んだり、そんな概念も古くなりそうです。

まとめ

  • 棚前の在庫を正確につかめれば、補充・発注・並べ替えを前倒しで行えるようになる。
  • 棚割りは設計図の良し悪しよりも、更新頻度と実装力が成果を分ける時代へ。
  • まずはKPIの統一と小さな実証(1カテゴリ×3店舗・2週間)から始め、継続できる仕組みを整えることが重要だ。
Jun Sasaki

ソロアントレプレナー。◎MD企画屋 ◯グッズ設計屋 ▲AI 遊び人 △教養メディア屋 ★未来作家| 13年目のひとり法人、㍿英伝堂 代表|だいたいXにいます。
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